

財務省が発表した資料によると、2021年度におけるマンション共用部分の地震保険加入率は49%です。
これは専有部分や戸建住宅よりも低い水準です。

地震保険は全体的に加入率が上昇していて、マンション総合保険も地震保険を付帯する割合が高まっています。
しかし、全体平均に比べてマンション共用部分の地震保険は加入率の上昇ペースが遅いです。
マンションにおける地震保険の必要性と考え方について解説します。

1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物は新耐震基準をクリアしており、震度6強から7程度の地震でも倒壊しないことを目標にした耐震性を確保しています。
これは戸建住宅にも共通していることで、新耐震基準後に建てられていることを条件にすればマンションだから無条件で戸建住宅より地震に強いと表現することはできません。
ただし、戸建住宅は構造や設計の自由度が高いため、新耐震基準をクリアしていても耐震性能にばらつきがあります。
【東日本大震災の事例(2011年)】
2011年に発生した東日本大震災では最大震度7を記録しましたが、新耐震基準のマンションは倒壊しませんでした。
旧耐震基準のマンションが1棟倒壊し、新耐震基準のマンションでも中破判定されたものが複数ありました。
新耐震基準の建物を条件にした場合、建物の耐震性能よりも地盤や液状化リスクの方が重要です。
適切に施工されたマンションは建築時に地盤調査と改良をしっかり行っているため、総合的に見て僅かな差ではありますが戸建住宅より地震に強いと評価することができます。
<専有部分と共用部分との違い>
●専有部分
●共用部分(マンション総合保険)
家財の損失リスクが異なるため、専有部分と共有部分で地震保険の必要性が変わってきます。

南海トラフ地震は今後30年以内に60~90%の確率で発生すると言われています。
| 発生要因: | 一定周期で大規模地震が発生するプレートの沈み込みとひずみの蓄積があるため、いずれは南海トラフ地震が発生する見込みです。 |
|---|---|
| 背景: | 地震保険の加入率が高まっている要因の一つが南海トラフ地震への備えで、時間の経過とともに大地震のリスクは高まっていきます。 |
今後発生する大地震の予測から考えれば、地震保険には加入しておいた方がいいでしょう。
地震保険は保険料の高さがネックで、被害を受けても全ての損失が補償されません。
地震保険の必要性が高いことは確かですが、掛捨になるため加入していたことが正解だったかどうかは未来にならないと分からないことです。
保険には、掛捨型と満期返戻金がある積立型があります。このどちらの形式を選ぶかによって、保険に対する考え方や家計への影響も変わってきます。
<セオリー通りにいかない>
地震はプレートのひずみが戻る力で発生することが多く、大地震が発生しやすい地域が決まっています。
【熊本地震の事例(2016年)】
2016年に発生した熊本地震では大きな被害が出ていますが、熊本県は地震が発生しにくい地域だとされていました。
熊本で最大震度7を記録する大地震が発生したのは、未知の活断層が原因だったことが分かっています。
現代の技術をもってしても活断層を全て把握することは困難で、日本全国で地震のリスクがあります。
地域性を考慮して地震保険への加入を検討することは大切ですが、安全性が高い地域でも安心してはいけません。
地震保険の必要性は高いですが、必ずしも加入するのが正しい選択と言い切ることはできません。
必要性が特に高い立地:
津波による被害も地震保険でないと補償されないため、海から近い立地や液状化しやすい立地などは地震保険の必要性が高いです。
加入の判断基準:
保険は万が一に備えるものですので、保険料を払えると思えるなら地震保険に加入しておいた方がいいでしょう。
既に加入している場合:
既に地震保険へ加入している場合は、継続して加入することをおすすめします。

これまで未加入だったマンションで地震保険に新規加入する場合は、管理組合の承認が必要です。
コストの問題から反対する意見が出る可能性も高いですが、地震保険に加入するか議論すること自体にデメリットはありません。
地震保険に未加入の場合は、所有者が個別に大地震で建物に損害が出た場合のことを考え、対策を講じておくようにしてください。